2002年2月

風の行方・・・

2月26日（火）

中村彝『エロシェンコ氏の像』を見に、東京国立近代美術館へ。
二年前の記憶とは別の印象で、絵は待っていた。

セザンヌ『瓶のある静物』を眺めながら、まだ彼の思考を追うことはできないと感じた。
ジャコメッティのデッサンと、偶然と呼ぶべき出来事・・・

2月25日（月）

同じものを見ることよりも、同じ地平に立つこと。

風の音には深緑のお茶。
JAZZには琥珀色のウイスキー。

2月24日（日）

「ここにはないなにか」を、探そうとしている。
自分の中にあると気づいていても、遠くまで行かねばならない。
それを確かめるために・・・

2月23日（土）

縁側に座って飲むお茶は、うまい。

2月22日（金）

鎌倉の県立近代美術館にて、『Paul Klee and His Travels』。
眠っている桜並木。

2月20日（水）

マニエール・ノワールという銅版画技法。
インクの深い黒、紙の淡い白、静かな世界・・・

2月15日（金）

あの時、銀盤の上で流れていたのは、ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第２番』第３楽章だった。
午後の陽射しは、毛布を黄金の海に変えた・・・

2月13日（水）

「どんな人にも光を放つ一瞬がある。その一瞬のためだけに、そのあとの長い長い時間をただただ過ごしていくこともできるような。」　鷺沢萠

69秒26
男の顔に、光はなかった・・・

2月11日（月）

「文化」という建造物の下に広がる、ひとつの大地。
そこを歩けば、何処へでも行けるだろう。

2月10日（日）

訪れた場所に雪が降った。
いつも地球のどこかで、雪が舞っている・・・

2月9日（土）

英国風のBARに漂う浮遊感。
光が照らす者と、影に消える者。
止まることなく進行する、別々の現実・・・

2月5日（火）

「ぼくはあの花だ、あの空だ、あの椅子だ。ぼくはあの廃墟だった、あの風、あの暑気だった。さまざまに仮装しているぼくを、きみはそれとすぐにはわからないのか？　きみはぼくを猫だと思っている、それはきみがきみを人間だと思っているからだ。」　グルニエ『猫のムールー』

2月4日（月）

眠りと恢復。
Gregorian Chant を部屋に響かせて・・・

2月3日（日）

ミラノで購入した本を読めるよう、辞書を買いに出かけた。
一日中、雨は降り続いていた。

2月1日（金）

わたしという場所でしか出来事は生起しない

本を開くと、眼に飛び込んできたレヴィ＝ストロースの言葉。
何処にいても、私という同じ場所から、空を見上げていた・・・