過去の日々 > 2003年2月

2月26日（水） ラウレンツィアーナ図書館へ昇る階段。 波紋のような石の曲線。 中庭では一本のみかんの木が、鮮やかな実をつけて立っていた。 2月25日（火） 夜、ずっと日付を間違えて過ごしていたのに気がついた。 数日の間、私は自分ひとりのカレンダーの中で生きていた・・・ 2月24日（月） 白黒の写真集とchiaroscuro。 2月21日（金） 自らの創造物を失った空白は、それ以上の物を創ることで 埋められる・・・ 2月20日（木） 動物学博物館“La Specola” 地球の何処かで生きていた物達の抜け殻が、空間を囲んでいた。 未知の領域は、無限へと発散してゆく・・・ 2月17日（月） 時計を見ると、まだ時間があった。 オーニッサンティ教会右の扉を通り、かつての修道院食堂へ。 Ghirlandaio『最後の晩餐』の前に立った。 ひんやりとした空気が、時を止めていた・・・ 2月15日（土） 視覚は脳が創る幻影かもしれない。 しかし、その幻影こそが絵画を支えている。 2月14日（金） 存在よりも名前が意味をもってしまった時代。 坦々とした日常の上にだけ成り立つ理想。 2月13日（木） どうしようもない暗闇が訪れた時、このロウソクを灯そう・・・ 2月12日（水） カラブリアの魚と酔拳。 2月9日（日） 現実と絵画を隔てる、朦朧とした感覚。 2月8日（土） 突然、言葉が分からなくなった。 何も聞き取れない思考の沈黙。 私は逃れるように駅へ向かった・・・ 2月7日（金） 「この悪魔の冷酷な箱の中に入ると、自動的にそうした大小関係を強制されて、ぼくたちはそこから自由になることはない。どんなに大切なもの、心に暖かい感じを与えるもの、輝かしいものも、決して大きく強調して描きだすことはできない。そのくせ、つまらぬ物象でも近くにあれば大きく描かれるのだ。こんな冷酷な法則をつくって、ぼくらは何を手に入れたのかね？」 （辻邦生『春の戴冠』） 遠近法の箱に閉じ込められた絵・・・ 2月6日（木） EmpoliからVinciへ。 丘を覆うオリーブの木々。 Casa Natale di Leonardo 2月4日（火） どこまで続いているのだろう、 そう思いながらカッシーネ公園の果てしない並木道を歩いた。 左手に流れるアルノ川とともに・・・ 2月3日（月） 激しく降った、束の間の雪。 2月1日（土） お菓子の小包。 書店内のスクリーンに映し出された青空を、 白い煙が横切っていた・・・

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