「識別可能なものとして考案された多様な補完技術のうち、もっとも名高いのは中央修復研究所で用いられたリガティーノであり、それは欠損を特定可能とするような復元のための技術とされた。しかし、これはまちがった考えである。欠損部には、現存するものに似つかわしいかたちでの処置がとられるべきであり、リガティーノでは何も復元したことにならないのだ。現存部分にあわせるためには、時にその絵に類した手法、『贋作（falso）』にも等しい復元を進める必要すらあるだろう。欠損部の扱いにおいて採るべき方策の選択は、その絵画の様式や保存状態、制作当時の技法に左右されるのである。その処方がコード化されることはない。それはその機会ごとに、その絵その絵で見いだされるべきものなのである」（アレッサンドロ・コンティ）