ちょっと変化をつけたいとか、色気を出したいというとき、遠くにあっても成り立つ鮮やかな色を取り入れたりすることもある。「となりのトトロ」のとき、森の風景を描いたときに、いちばん遠くにある森に、エメラルドグリーンと薄紫とを完全に混ぜないで、鮮やかな色を少しずつ残るようにして使ったことがあって。そのときはとくに意識をしていたわけではなかったけれど、それを見た宮崎監督から「すごくきれいですね」といわれたことがあった。森だから緑というわけではなくて、赤や紫とかをちょっと部分的ににじませることによって、色が単調にならないような見せ方もできる。そういうちょっと鮮やかな色をうまく散りばめてやると、それが光を表す効果につながるんじゃないかな。（男鹿和雄）