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鉱石、土、植物…
大地から抽出した深い色
錬金術で生まれた鮮やかな色
近代化学が合成した新しい色
【 白 + 赤 + 黄 + 緑 + 青 + 褐色 + 黒 】
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【鉛白】（英）Lead White （伊）Bianco di Piombo | |
| 組成 | 塩基性炭酸塩 |
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| 性質 | ・屈折率＝1.94～2.09 ・乾性油とわずかに反応性があり、経年的に屈折率が低下することがある。 ・粒径は900～2300nmと大きいため、粒子の比表面積が小さく、吸油量が少ない。そのため乾燥時に膨張・収縮が少なく丈夫な層をつくる。 ・鉛化合物であるため、乾燥促進作用がある。また、遊離硫黄を含む顔料との混色による黒変は、理論上で起こり得る化学反応であって、実際に起こる可能性は極めて低い。油絵具の状態では、顔料粒子が油に包まれているため、硫化物との混色による顔料同士の接触も少なく、高温に加熱しない限り変色は起こらない。 |
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| 付記 | ・日本画の胡粉は、鎌倉時代頃まで鉛白を指していた。 ・鉛白には毒性があるが水に不溶であり、油絵具は油に包まれているので、通常の使用において危険性はほとんどない。ただし、口や傷から体内に入らないよう注意が必要。 |
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【亜鉛華】（英）Zinc White （伊）Bianco di Zinco | |
| 組成 | 酸化亜鉛 |
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| 性質 | ・屈折率＝2.00 ・粒径は100～400nmと小さく、比表面積は大きい。 ・塗膜形成過程で乾性油と反応し、亜鉛セッケンを生成する。反応は塗膜表面から進行するため、他の絵具を重ね塗りすると、剥離や亀裂が起こる。 ・硫化ガスと反応して硫化亜鉛となるが、変色はしない（よって混色制限がない）。また、鉛白やチタン白より透明感がある。 |
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| 付記 | ・仕上げ層でのみ用いるのが無難。 | |
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【チタン白】（英）Titanium White （伊）Bianco di Titanio | |
| 組成 | 酸化チタン |
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| 性質 | ・屈折率＝2.50～2.72、非常に隠蔽力がある。 ・粒径は200～400nmのものが使われる。 ・結晶構造により、ルチル(rutile)型とアナタース(anatase、アナターゼはドイツ語読み)型がある。 ・アナタース型は条件によって光触媒反応を起こし、塗膜成分を分解してしまうため、白亜化（チョーキング）しやすい。よって、油絵具にはルチル型が使われている。 ・乾性油、硫化ガスとも反応せず、化学的に安定である。 ・混色制限がなく、無毒である。 |
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| 付記 | ・ブルカイト（brookite）型もあるが、絵具には使われない。 ・隠蔽力と着色力が大き過ぎるため、扱いづらい。 |
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【白亜】（英）Chalk （伊）Bianco di Calce, Bianco San Giovanni | |
| 組成 | 炭酸カルシウム |
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| 性質 | ・屈折率＝1.50～1.64と小さく、油と混合すると透明になるため、白色の油絵具としては使えない。 ・人工的に製造される沈降性炭酸カルシウムは、粒子が細かく均一であり、地塗りには適さない。 |
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| 付記 | ・イタリアより北方で地塗りに用いられていた。 | |
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【石膏】（英）gypsum （伊）gesso, gesso naturale | |
| 組成 | 一般には硫酸カルシウム二水和物（二水石膏） |
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| 性質 | ・屈折率＝1.53～1.62と小さいため、白亜と同様に白色の油絵具としては使えない。 ・加熱脱水によって、120～160℃で半水石膏（焼石膏）、160～300℃で無水石膏となる。 |
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| 付記 | ・イタリアで古くから地塗りに用いられている。 ・別名：ボローニャ石膏、雪花石膏(alabaster) ・最新ＪＩＳでは、「石こう」と表記する。 |
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【 白 + 赤 + 黄 + 緑 + 青 + 褐色 + 黒 】
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【朱】（英）Vermilion （伊）Vermiglione | |
| 組成 | 硫化水銀 |
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| 性質 | ・屈折率＝2.81～3.14と非常に大きく、着色力がある。 ・精製が不十分だと遊離硫黄が残り、鉛白などと混色すると黒変の可能性がある。 |
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| 付記 | ・天然の硫化水銀が辰砂（Cinaber）、人工の硫化水銀がVermilionである。天然物と人工物に差はなく、見分けるのは難しい。 | |
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【ケルメスレーキ】（英）Kermes Lake （伊）Chermes, Lacca di Kermes | |
| 組成 | ケルメス酸 kermesic acid |
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| 性質 | ・南ヨーロッパに広く生息するカイガラ虫（Kermes vermilio Planch）から抽出される色素のレーキ。 ・kermesic acidの他に、flavokermesic acidも含んでいる。 ・ラックレーキ、コチニールレーキに比べて低彩度。 |
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| 付記 | ・最も古い天然染料のひとつで、旧・新約聖書にも記述がある。 ・イタリア絵画ではこのレーキが主に用いられていた。 ・16世紀半ばからコチニールが輸入されるようになり、ケルメスは次第に使われなくなった。 ・英語名が「クリムソン crimson」。 |
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【コチニールレーキ】（英）Cochineal Lake （伊）Lacca di Cocciniglia | |
| 組成 | カーマイン酸 carminic acid |
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| 性質 | ・中南米のに生息するカイガラ虫（Dactylopius coccus L. Costa）から抽出される色素のレーキ。 ・ケルメスレーキに比べて鮮やか。 |
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| 付記 | ・スペインがメキシコを征服した1512年以降に、ヨーロッパへ持ち込まれた。 ・当初は、ウルトラマリンブルーと良質なアズライトの次に高価な色だった。 |
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【茜】（英）Madder Lake （伊）Lacca di Robbia, Garanza | |
| 組成 | 主成分はアリザリンalizarin、少量のプルプリンpurpurinやpseudopurupurinを含む アリザリン  プルプリン  |
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| 性質 | ・茜（Rubia tinctorum L.）の根から抽出される色素のレーキ。プルプリンを含むため、色に黄味がある。 ・耐光性がよく非常に安定しているが、合成アリザリンレーキより劣っている。 |
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| 付記 | ・ヨーロッパ北方の絵画ではこのレーキが主に用いられていた。 ・アリザリンは1868年、人工的に合成された最初の天然色素。市販絵具の「ローズマダー」「カーマイン」「クリムソン」等は、多くが合成アリザリンを用いている。 |
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【カドミウム赤】（英）Cadmium Red （伊）Rosso di Cadmio | |
| 組成 | 硫化カドミウムと硫化セレンの固溶体 |
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| 性質 | ・屈折率＝2.64～2.77 ・隠蔽力と着色力に優れている。 ・近年は精製技術も向上し、混色制限はない。 |
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| 付記 | ・1920年頃から赤色顔料として使用されるようになった。 ・市販絵具は比較的高価であるが、それでも体質顔料がかなり添加されているため、純度は低い。 ・バーミリオンの代替品としても、よく用いられる。 |
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【 白 + 赤 + 黄 + 緑 + 青 + 褐色 + 黒 】
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【黄土】（英）Ochre （伊）Ocre Gialle | |
| 組成 | 主成分は酸化水酸化鉄（Ⅲ） FeO(OH)とも書く。他にケイ酸アルミニウムなどを含む |
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| 性質 | ・屈折率＝2.00～2.40 ・隠蔽力があり、耐久性に優れている。 ・天然物のため、幅広い色調がある。 |
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【鉛錫黄】（英）Lead-Tin Yellow （伊）Giallolino | |
| 組成 | スズ酸鉛 |
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| 性質 | ・屈折率は2.0以上 ・製法によりtypeⅠ（Pb2SnO4）とtypeⅡ（PbSnO3, or Pb(Sn,Si)O3）がある。 ・常温では酸にほとんど影響されず、アルカリにも強い。 ・鉛を含んでいるため、大気中の硫化ガスによって黒変の可能性がある。 |
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| 付記 | ・絵画において1300～1750年頃に最も鮮やかな黄色としてtypeⅠが使われていた。イタリアの一部（ジョットやティントレットなど）ではtypeⅡも使われた。 ・昔日の文献において、イタリアでgiallolino（giallorino）、北方でmassicot（masticot）と称されていた顔料は鉛錫黄であり、現在、マシコットと呼ばれる一酸化鉛PbOは、絵画にはあまり用いられていなかった。 ・1940年頃、絵画サンプルの科学分析によりこの顔料の存在が再認識された。 |
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【ナポリ黄】（英）Naples Yellow, Lead Antimonate Yellow （伊）Giallo di Napoli |
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| 組成 | アンチモン酸鉛 |
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| 性質 | ・屈折率＝2.01～2.28 ・化学的に安定しており、耐光性、耐アルカリ性がよい。 ・アンチモンと鉛の比率によってレモン色から黄土色まで色調ができる。 ・鉛を含んでいるため、大気中の硫化ガスによって黒変の可能性がある。 |
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| 付記 | ・紀元前16世紀頃からある人工顔料。絵画へ使用は、Matthais Stomer『Arrest
of Christ』（1630-32年）が最もはやい。 ・Andrea Pozzoの著作（1693-1700年）に「luteolum Napolitanum」という名称が記されているが、その顔料がアンチモン酸鉛を意味しているかは不明。 ・天然には含水アンチモン鉱（Bindheimite）が存在するが、絵画に使われた記録はない。ナポリで産出されるわけでもなく、なぜ「ネープルスイエロー」と呼ばれるようになったのかは謎である。 ・市販品はアンチモン酸鉛を含まず、チタン系の顔料などでつくられている。 |
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【カドミウム黄】（英）Cadmium Yellow （伊）Giallo di Cadmio | |
| 組成 | 主成分は硫化カドミウム |
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| 性質 | ・屈折率＝2.35～2.48、隠蔽力がある。 ・耐光性、耐アルカリ性はよいが、濃い酸には溶解する。 |
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| 付記 | ・19世紀中頃から油絵具に使われるようになった。 ・現在の黄色では重要な顔料である。 |
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【 白 + 赤 + 黄 + 緑 + 青 + 褐色 + 黒 】
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【緑土】（英）Green Earth （伊）Terra Verde | |
| 組成 | カルシウム、マグネシウム、鉄などから成るケイ酸塩 | |
| 性質 | ・屈折率や着色力は小さく、透明感がある。 ・耐光性、耐アルカリ性も良い。 |
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| 付記 | ・絵具を選ぶ際、顔料組成がPG23と表記されてあれば天然緑土。 | |
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【マラカイト】（英）Malachite （伊）Malachite | |
| 組成 | 塩基性炭酸銅（孔雀石型） |
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| 性質 | ・屈折率＝1.65～1.88 ・耐光性に優れるが耐酸性はよくない。 |
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| 付記 | ・天然品の緑青であり、孔雀石を選別・粉砕してつくる ・現在、日本画で一般に使用されている人工緑青は、塩基性炭酸銅を中性に近づけたもの。 ・1984年、研究機関による長年の試験をふまえ、厚生省から「緑青は無害に等しい」と公表された。毒物及び劇物取締法の(1)毒物、(2)劇物、(3)普通物という分類基準では、普通物に相当する。 |
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【緑青】（英）Verdegris （伊）Verderame | |
| 組成 | 西洋では人工の塩基性酢酸銅のことであり、下記の酢酸銅から成る混合物であ。    |
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| 性質 | ・屈折率＝1.53～1.56 ・塩基性炭酸銅と異なり、水溶性である。 ・耐光性はあるが、化学的に不安定で変色しやすい。酸と反応させ中性酢酸銅にすれば、その傾向は小さくなる。 |
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| 付記 | ・西洋ではマラカイトを粉砕したものも用いられていたが、この人工緑青も広く使われていた。 ・市販されているものは、一般に(3)を指すようである。 ・樹脂酸銅には、中性酢酸銅を用いるのがよい。 |
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【ビリジアン】（英）Viridian （伊）Verde Smeraldo | |
| 組成 | 水和酸化クロム |
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| 性質 | ・透明性の高い、鮮やかな緑。 ・耐光性、耐アルカリ性、耐酸性も良い。 |
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| 付記 | ・1859年、ギネーが製法特許を取ったため「ギネー緑」とも呼ばれる。 ・現在の緑色顔料としては重要だが、古典技法に多用するのは野暮。 |
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【 白 + 赤 + 黄 + 緑 + 青 + 褐色 + 黒 】
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【ウルトラマリン青】（英）Ultramarine Blue （伊）Blu Oltremare | |
| 組成 | ナトリウム、シリカ、アルミナ、硫酸塩、硫黄 | |
| 性質 | ・屈折率＝1.50と小さく、透明性が高い。 ・市販の合成品の粒径は4μm前後。 ・耐光性、耐アルカリ性はあるが、酸には弱い。酸をかけると硫黄を発して、白っぽく退色する。 |
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| 付記 | ・天然品はラピスラズリからつくられる。ただし、方解石や黄鉄鉱などの不純物を多く含むので、青色成分（ラズライト）を抽出する必要がある。 ・レンブラントの作品には使われた例がない。 ・1828年に人工の合成法が開発された。 |
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【群青】（英）Azurite （伊）Azzurrite, Azzurro della Magna | |
| 組成 | 塩基性炭酸銅（藍銅鉱型） |
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| 性質 | ・屈折率＝1.73～1.84 ・空気中に長く放置すると、水と反応して孔雀石型（マラカイト）に変わる。 ・熱と温アルカリよって黒変するため、フレスコには使用できない。耐酸性もなく、弱酸にも溶解してしまう。 |
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| 付記 | ・「Azzurro della Magna」は中世イタリアにおける一般的な呼称。 | |
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【スマルト】（英）Smalt （伊）Smalto, Smaltino | |
| 組成 | 酸化コバルトを含むカリウム分の多いガラス | |
| 性質 | ・屈折率＝1.49～1.52 ・ガラスを粉末にした人工顔料あり、隠蔽力が非常に小さい。スマルトの退色はガラスからのカリウムイオン浸出が原因とされる（→詳細）。 |
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| 付記 | ・ガラスを粉末にした人工顔料。イタリアで顔料として使われ始めたのは、15世紀半ば頃から。 ・日本へは江戸時代に渡り、花紺青と呼ばれた。 ・乾燥促進剤として、絵具に少量加えて使われることもあった。 |
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【コバルト青】（英）Cobalt Blue （伊）Blu di Cobalto | |
| 組成 | 主成分はアルミン酸コバルト |
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| 性質 | ・屈折率＝1.74、隠蔽力はあまりない。 ・耐光性、耐アルカリ性、耐酸性ともに良く、あらゆる技法に使用できる。 |
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| 付記 | ・1802年に合成された。 | |
【 白 + 赤 + 黄 + 緑 + 青 + 褐色 + 黒 】
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【シェンナ】（英）Sienna （伊）Terra di Siena | |
| 組成 | ローシェンナの主成分は酸化水酸化鉄（Ⅲ）、これを焼成したバーントシェンナの主成分は酸化鉄（Ⅲ） 他にケイ酸アルミニウムと二酸化マンガンを含む |
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| 性質 | ・黄土よりもケイ酸アルミニウムを多く含むため、透明性が高い。またマンガンを含み色が濃く、乾燥性に優れている。 ・非常に耐久性がある。 ・焼成するとさらに赤褐色となる。 |
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| 付記 | ・イタリア、トスカーナ州のシエナに由来している。 | |
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【ベニス赤】（英）Venetian Red （伊）Rosso Veneziano | |
| 組成 | 主成分は酸化鉄（Ⅲ） 他に炭酸カルシウムや硫酸カルシウムを含む |
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| 性質 | ・通常は10～30％の酸化鉄を含んでいる。 ・非常に耐久性がある。 |
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【 白 + 赤 + 黄 + 緑 + 青 + 褐色 + 黒 】
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【骨炭】（英）Bone Black, Ivory Black （伊）Nero d'Avorio | |
| 組成 | 主成分はリン酸カルシウム、炭素は10％前後 | |
| 性質 | ・発色成分の炭素含有量は少ないが、リン酸カルシウムが発色補助剤として作用している。 ・暖かみのある黒色。 ・リン酸カルシウムが微生物のエサとなるため、カビが発生することもある。油彩の場合は、顔料が油膜に覆われていれば心配ない。 |
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| 付記 | ・動物の骨や牙を焼いて得る骨灰、表示はPBk9。 | |
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【植物炭】（英）Charcoal Black, Vine Black （伊）Nero di Carbone, Nero di Vite | |
| 組成 | 主成分は炭素、無機塩を含む | |
| 性質 | ・植物そのものを炭化したもの。 ・アイボリー黒より炭素含有量は高いが、透明性がある。 |
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| 付記 | ・ブドウの蔓や幹を焼いて炭化させたVine blackなどがある。顔料組成がPBk8ならば植物炭。 | |
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【ランプ黒】（英）Lamp Black, Carbon Black （伊）Nerofumo | |
| 組成 | 炭素98.5％、微量の油性成分 | |
| 性質 | ・油を不完全燃焼させた「すす」から得られる。樹脂や油分が炭化したもの。 ・青みの黒色。 ・粒子は細かく、着色力が大きい。 ・撥水性があり、水彩やフレスコには不向き。 |
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| 付記 | ・顔料組成がPBk6ならばランプ黒だが、安価なPBk7（カーボン黒）の場合も多い。 | |